LoFi配信を始める方法 - BGMチャンネルの作り方
「Lofi Girl」のチャンネルを見たことがある人は多いと思います。アニメの女の子が勉強している映像に、延々とLoFi Hip Hopが流れるあのライブ配信。常時3〜5万人が視聴していて、チャンネル登録者は1,400万人を超えています。
あそこまでの規模は無理でも、同時視聴20〜100人程度の小さなBGMチャンネルはたくさん存在します。そして、ああいうチャンネルがやっていることは意外とシンプルです。著作権的に問題のない音源を集めて、ループ映像と合わせた動画を作り、それを24時間流し続ける。この記事では、その具体的な手順を最初から最後まで説明します。
ステップ1:音源を集める(ここが一番大事)
BGMチャンネルの価値は音源で決まります。映像はループの背景に過ぎません。視聴者がチャンネルに留まるかどうかは、流れている音楽の質と選曲のセンスにかかっています。
方法A:著作権フリー音源を集める
自分で音楽を作れない場合、著作権フリー(ロイヤリティフリー)の音源を使います。ただし「フリー」という言葉には注意が必要です。YouTubeで収益化するためには、Content IDに登録されていない音源で、かつ商用利用が許可されているライセンスの音源を使わなければなりません。
Free Music Archive(FMA)。CC0(パブリックドメイン)やCC-BY(クレジット表記で利用可)の楽曲が大量にあります。無料。LoFi、Chillhop、Ambient、Jazzなどジャンル別に検索できます。ただし玉石混交なので、1曲ずつ聴いて選ぶ必要があります。100曲聴いて10曲使える、くらいの感覚です。ダウンロード前にライセンスの種類を必ず確認してください。CC-BYの場合、概要欄にアーティスト名と楽曲名のクレジットを入れる必要があります。
YouTube Audio Library。YouTube公式が提供する無料音源ライブラリ。YouTube Studioの左メニュー「オーディオ ライブラリ」からアクセスできます。ここにある楽曲はYouTubeでの使用が公式に許可されているので、Content IDの心配がありません。LoFi系の楽曲は少なめですが、Ambient、Electronicなど使えるジャンルもあります。「帰属表示不要」のフィルターをオンにすると、クレジット不要の楽曲だけ絞り込めます。
Epidemic Sound(月額約2,000円)。商用利用可の音楽サブスク。楽曲数は40,000以上で、クオリティが安定して高いのが特長。YouTubeとの連携機能があり、チャンネルを登録しておけばContent IDクレームが自動で解除されます。月額を払う価値はあります。LoFi、Chillhop、Jazz Hip Hopなどのプレイリストが充実しています。
Artlist(年額約20,000円)。Epidemic Soundと同じく商用利用可の音楽サブスク。こちらは年額払い。全楽曲が全用途で利用可能で、ライセンスの心配がない。BGM系の楽曲も多いです。
方法B:自分で作る
LoFi Hip Hopは、実は音楽制作の入門に最適なジャンルです。テンポが遅く(70〜90BPM)、コード進行がシンプルで、音数が少ない。楽器が弾けなくても、DAW(音楽制作ソフト)とサンプルパックがあれば作れます。
BandLab(無料、ブラウザベース)。アカウントを作ってブラウザで開くだけで使えるDAWです。ループ素材が豊富で、ドラッグ&ドロップで並べるだけでそれっぽい曲ができます。書き出した音源は自分のものになるので、YouTubeでの使用も問題ありません。
GarageBand(無料、Mac/iOS)。Apple製の無料DAW。プリセットのループ素材を並べてLoFi風の曲を作れます。「Drummer」機能でドラムパターンを自動生成して、その上にピアノやギターのループを重ねるだけ。書き出しはMP3またはAACで。
FL Studio(約30,000円、買い切り)。本格的にLoFiビートを作りたいなら。LoFi Hip Hopの定番DAWで、海外のビートメーカーの多くが使っています。「Lifetime Free Updates」なので一度買えば永久に最新版を使えます。
AIで音楽を生成する。SunoやUdioなどのAI音楽生成サービスを使えば、テキストプロンプトからLoFi Hip Hopを生成できます。「lofi hip hop, chill, piano, vinyl crackle, 80bpm」のようなプロンプトで1〜2分の楽曲が出てきます。ただし、AI生成の楽曲は著作権の取り扱いがサービスによって異なります。Sunoの有料プラン(月$10〜)なら商用利用可。無料プランは商用利用不可なので注意してください。
著作権で失敗しないために
「著作権フリー」と書いてあるサイトからダウンロードした音源でも、YouTubeにアップロードした瞬間にContent IDクレームが来ることがあります。これは、その音源を第三者がContent IDに登録していたケースです。フリー音源サイトの管理者とContent IDの登録者が別人、というケースは実は珍しくありません。
対策として、配信で使う音源は事前にテストしてください。テスト用のYouTube動画(非公開)に音源を使った短い動画をアップロードして、24〜48時間待ちます。Content IDクレームが来なければセーフ。来たら、その音源は使わないほうがいいです。異議申し立てもできますが、手間がかかるし、配信中にクレームが来て収益を一時的に持っていかれるリスクがあります。
ステップ2:映像を作る
LoFi配信の映像は、BGMの雰囲気を壊さない、落ち着いたビジュアルが求められます。派手である必要はまったくありません。むしろ、シンプルなほうが「作業用BGM」としての実用性が高く、視聴者が長時間留まりやすいです。
パターン1:ループアニメーション
Lofi Girl風のアニメーションループを作るなら、いくつかの方法があります。
Canvaで作る(無料〜月1,500円)。Canvaの動画テンプレートには、雨の窓、夜の街並み、デスク周りなどLoFi風のアニメーション素材があります。「lofi」「chill」「aesthetic」で検索すると出てきます。テンプレートを選んで、カラーを調整して、5〜10秒のループ動画として書き出します。
Pixabayの無料動画素材。Pixabay(pixabay.com)には、焚き火、雨粒、雪景色、夜の街並み、カフェの窓辺など、LoFi配信にぴったりの実写ループ動画が大量にあります。ライセンスはCC0なので自由に使えます。解像度が1080p以上の素材を選んでください。
自分で撮影する。窓からの景色、カフェのテーブル、雨の日の街並み。スマホで5〜10秒の動画を撮って、DaVinci Resolveで色味を調整してループ動画にする。オリジナリティが出るのでおすすめです。
パターン2:静止画 + パーティクルエフェクト
1枚のイラストや写真に、雪、雨、光の粒などのエフェクトを重ねるパターンです。After Effectsがあればベストですが、無料ツールでも十分できます。
DaVinci Resolve(無料版)を使う場合の手順:新規プロジェクトを作成 → タイムラインの解像度を1920x1080に設定 → メディアプールに背景画像をインポート → タイムラインに配置して、デュレーションを10秒程度に伸ばす → 「Fusion」ページに切り替え → 「pEmitter」ノード(パーティクルエミッター)を追加 → パーティクルの形を「Point」か「Blob」に、色を白、サイズを小さく、速度をゆっくりに調整。これで雪が降るようなエフェクトが付きます。
映像の長さについて
映像は5〜30秒のループで十分です。24時間配信では同じ映像が何千回もループしますが、視聴者はBGMを聴くために来ているので、映像が繰り返しでも気になりません。むしろ、映像がコロコロ変わると作業の邪魔になるので、シンプルなループのほうが好まれます。
ステップ3:音源と映像を合成する
集めた音源と映像を1本の動画ファイルにまとめます。ここではDaVinci Resolve(無料)を使った手順を詳しく説明します。
DaVinci Resolveでの作業手順
- DaVinci Resolveを起動 → 「新規プロジェクト」で名前を付けて作成
- 画面下部の「メディア」タブをクリック → 左のファイルブラウザからBGM音源ファイル(MP3/WAV)と映像素材を見つけて、メディアプールにドラッグ&ドロップ
- 「エディット」タブに切り替え → まず映像素材をタイムラインにドラッグ
- 映像のクリップを選択して、必要な長さまでコピー&ペーストで繰り返す(BGMの長さに合わせる)
- BGM音源をタイムラインのオーディオトラックにドラッグ → 複数の曲をつなげる場合は順番に並べる
- 曲と曲のつなぎ目は、1〜2秒のクロスフェード(フェードアウト→フェードイン)を入れると自然になる。オーディオクリップの端をドラッグしてフェードを付ける
- 全体の長さを確認。30分〜1時間が1ファイルの目安。長すぎるとアップロードに時間がかかり、短すぎるとプレイリストの管理が面倒になる
- 「デリバー」タブに切り替え → 「YouTube」プリセットを選択 → 解像度1280x720、フレームレート30fps、品質「制限」でビットレート2,500kbps → 「レンダーキューに追加」→「すべてレンダリング」
書き出しにかかる時間は、1時間の動画で10〜30分程度(PCのスペック次第)。書き出したMP4ファイルが配信用の動画になります。
バリエーションを作る
1つの映像に1つの曲だと単調になります。おすすめは、30分〜1時間の動画を3〜5パターン作って、プレイリストとしてシャッフル再生すること。映像を変えるだけでも(昼バージョン、夜バージョン、雨バージョンなど)雰囲気が変わります。音源のセットを変えれば、同じ映像でも新鮮に聴こえます。
ステップ4:24時間配信を始める
動画ファイルができたら、あとは24時間ループで配信するだけです。
OBSで配信する場合。OBS Studioを起動して「メディアソース」に動画を読み込ませ、ループ再生にチェックを入れて配信開始。無料で今すぐ始められますが、PCを24時間つけっぱなしにする必要があります。2〜3日でOBSやPCが不安定になることが多いので、長期運用には向きません。
配信自動化ツールを使う場合。ブラウザから動画ファイルをアップロードして、YouTubeのストリームキーを入力して、再生ボタンを押すだけ。自分のPCは不要で、配信が切れても自動で再接続されます。月1,500円程度のコストがかかりますが、PCの電気代(月3,000〜5,000円)より安いです。
チャンネルの育て方
24時間配信を始めただけでは、視聴者は来ません。YouTubeのアルゴリズムにとって、新しいチャンネルのライブ配信は基本的に無視されます。最初の1〜2週間は同時視聴者0〜2人が当たり前です。ここで諦めずに続けることと、並行して視聴者を呼び込む施策を打つことが大事です。
通常動画(VOD)を週1〜2本アップする。「作業用BGM LoFi 1時間」「勉強用BGM ジャズピアノ 2時間」のようなタイトルで、配信で使っている音源をまとめた動画をアップします。YouTube検索からの流入を狙えます。動画の終了画面に「24時間ライブ配信はこちら」のリンクを貼って、ライブへ誘導します。
YouTubeショートを週2〜3本投稿する。60秒以内のショート動画は、チャンネルの露出を劇的に増やします。BGMの中からキャッチーな30秒を切り出して、おしゃれなビジュアルを付けて投稿。ショート動画は検索ではなくYouTubeのおすすめフィードで拡散されるので、まだ自分のチャンネルを知らない層にリーチできます。
サムネイルとタイトルを最適化する。LoFi配信で伸びているチャンネルのサムネイルは、暗めの色調にネオンカラーのアクセント、アニメ調のイラスト、という共通パターンがあります。タイトルは英語が圧倒的に有利です。日本語圏だけでなく全世界のLoFiリスナーがターゲットになるので、「lofi hip hop radio - beats to relax/study to」のように英語で付けるのがおすすめです。